お侍様や日々の事をポツポツと。
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比翼の鳥と連理の枝
大変です。うちのパソが壊れました(いきなりだなオイ)
マウスが利かなくなって、画面がぶれまくりです。
キーボードがかろうじて動くので何とかうってますが…
そういう訳で、今回は誤字脱字はご勘弁ください。あったら教えてください(自分でチェックしろって?ご尤も;;)
えっと……今回は暗いのを目指そうっ!と意気込んで書きました。
なので色々と変な感じかもしれません(うちのアホ話見慣れた人には)
ちなみにタイトルは楊貴妃の物語の中から抜粋しました。どーゆー意味?って思った方は調べてみてくださいv
・カンベエ様がシチ無しじゃ生きてけない人になってます。
・シチが乙女なんだかちゃんとした男なのか解らん感じです。
・ラブラブなんだかどうか(大して甘くないと思います)
・大戦時代の捏造ですのであしからず。
上記四つのどれもがまぁ別に構わんけどって感じであればどうぞ。
どんな二人でもオッケーじゃ――っ!って方はもう万事大丈夫でしょう。
* * * * * * * * * *
《 比翼の鳥 と 連理の枝 》
言葉は言葉でしかなく、交わされるそれには何の束縛力も無い。
ただ溢れ出す想いのままに伝える事しかできず、だからこそこんな時には余計にその声を聞きたくて。
「……シチロージ」
息をつきながらそっと名前を呼んだが、返ってくる声は無い。
青白い肌には幾重にも包帯が巻かれ、腕には針を通した管が繋がれている。
傷は深く、生の可能性を見出せただけ奇跡だと聞いた。
「……」
何故己ではなくこの青年なのだろう。この命、いつ尽きようとも構わぬというのに。
シチロージが死にかけたのは、己の所為だというのに。
「…すまぬ」
無茶な作戦だということは、解っていた。
けれどシチロージと共にならばできると信じてもいた。
お主が目の前で血塗れになった時、ワシは進むべき道を見失ってしまったのだ。
シチロージが血に染まった後の事は記憶に無い。気づいた時には、敵の骸が足元に広がっていた。
賞賛の声など聞き流し、医療棟へお主が運び込まれ後になって敵の血に塗れた己を知ったのだ。
頭に血が上ったのか、それともその逆か、ワシは鬼になってしまったのやもしれぬ。
その証拠に、お主が命を繋いだと聞いた時も涙ひとつ零せなかったのだ。
「……シチ……ワシを一人にしたまま、眠って居るでない」
ほれ。こんな自分勝手な事しか言えぬ。
しかしな、シチロージ。お主が目を覚まさねば本当にワシはどうしたら良いのかも解らぬ。
足がな、先程から言う事を利かぬのだ。情けないと笑うてくれて良い。
助かったと聞いても、涙も流さぬ薄情者と罵ってくれたって良い。
だから、はよう目を覚まして、ワシを呼んでくれ。
「…起きぬか……シチロージ…」
あとどれ程経ったならお主は目を覚ます?
ワシはもうずっとお主の寝顔を見ているような気がしてならぬわ。
全く。主の目の前で眠り続けるとは、なかなかいい根性をして居るな。
「…っ……ぅ、…」
「シチっ?」
僅かに零れた呻き声に、自分でも笑える程敏感に反応する。
薄らと開いた瞳は霞掛かっていて、もしかしたらまだ意識がはっきりとしていないのかもしれない。
焦点がウロウロと空を彷徨い、管の通されていない腕が微かに動きを見せる。
シーツを這う掌は何かを探しているようで、おもわず掴めば弱弱しくも力が込められた。
「………………カ……エ、様……そ、こに…………?」
「…………あぁ」
目が見えていないのかと内心焦ったが、覚醒した直後ならばありえる事だと思い直す。
握った手に力を入れて、応えるように握り直せば、シチロージは安堵したのかほっと息を吐いた。
「…ご無事、で」
「人の心配をしている場合か」
「は、ははっ…違いな、いや……」
言葉こそ拙いが、声はそれ程弱くない事が解り、カンベエは自然と頬を緩めた。
「はよう良くなれ。お主が居なければワシが困ってしまうでな」
「……、カンベエ…さ、ま…の声……聞こえました」
「…ワシの、声?」
「えぇ、」
虚ろであった瞳に、ゆっくりと光が戻り始める。
シチロージの手が、ぎゅぅっと握り返してきた。
「…泣いて、居られたでしょう…?」
「―――」
泣いてなど、居らぬ。泣く事など、できぬ。
お主が今こうしているのは、誰でもないワシの所為だ。
それなのに、泣いても良い道理などなかろう?
あぁ、しかし。
「……ホラ。やっぱり…泣いて居られる」
シチロージの蒼い瞳が、確かな意思を持って己を見上げる。
けれどその顔は、ぼやけてしまってよく見えない。
「…っ……」
泣いているのだと、理解したのはそう言ってシチロージが頬を撫でたからだ。
掌は、暖かく、生の証。
あぁ。お主は、生きているのだな。
実感は感情の波を作り出し、衝動となって雫を溢れ出させる。
「……暫し、眠れ。シチロージ」
穏やかな心持でそっと囁けば、シチロージは頷き、微笑んだ。
それ程の時も経たずして耳に届いた呼吸音にシチロージを見下ろす。
「年をとると、涙脆くていかんな…」
カンベエは己の目尻を拭いながら、小さく笑った。
― 後日 ―
「シチロージっ!シチロージっ!?全くどこへ………シチっ!!」
「うわっ!見つかった」
「たわけっ!まだ安静にせねばならぬと言われて居るのに、何をしているのだ!」
「あ、あと少ししたら戻りますからっ!」
整備場に置かれた斬艦刀の上に立つ青年は、顔色こそ良いがそこかしこに包帯を巻いている。
怒鳴りつけようとも降りてくる気配の無い青年に痺れを切らし、カンベエは斬艦刀に飛び乗った。
「今すぐ戻れっ!大体、何を…し、て………?」
「あー、いや……先日は、心配かけちまったし…まじないも兼ねてって言うか…」
彫り途中なのだろう。操縦席の正面には薄らと文字が刻まれている。
「…イツモフ「わぁ――――――っ!!」
読み上げようとすると、シチロージが大声で喚いた。
あまりの大音量に、周囲で機体を整備していた工兵達までもがシチロージに注目する。
しかしそんなものに構っている余裕も無いのか、シチロージはカンベエに押し迫った。
「わざわざ口に出さないで下さいよっ!彫るのだって相当勇気が要ったんですからっ!!」
「……」
ならば彫らなければ良いだろうに。
そう思いながらも、カンベエは敢えて言わなかった。
代わりに刻み込まれた文字を指先でそっとなぞる。
イツモフタリデ
「……、…」
「…カンベエ様?」
忍ぶようにそっと笑うカンベエを、シチロージが目聡くも見咎める。
「何ですか?」
「…さて、な」
シチロージの問いにも答えず、カンベエは肩を竦めてみせると斬艦刀を降りていってしまった。
「あ、ちょっと。カンベエ様っ!何なんですか。気になるでしょっ!!」
「それだけ元気ならもう前線へ送り出しても平気だな」
「げぇっ!それは無いですよ。カンベエ様」
追いついたシチロージと軽口を交わしながら、カンベエは青年を盗み見る。
(…やはり、隣にこいつが居なければ落ち着かぬな)
たった七文字の言葉に救われた、なんて事は悔しいから一生言うまい。
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たまには暗いのをって思って書いたらイツフタの起源話になっちゃいました;
さらっとこーゆー事やっちゃうシチも良いんですが、人の目もあるだろうし、やっぱり普通なら恥ずかしいんじゃないだろーかとか(カンベエ様しか見えてないシチならありえん話ですけど)
もしこれがギャグならば直球副官と乙女軍師な感じで逆になるんでしょーが。
むしろカンベエ様は開き直って恥ずかしがらなさそう……。
この後シチを見てるのがばれて、何です?とか聞かれて悔し紛れにシチの鼻つまむと良いなぁというのは私の妄想です(アホ)
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