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お侍様や日々の事をポツポツと。

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引越し第五弾。
お題のふたつめ。
やっとこさシチが動き出します。
一応お題は続きもののつもりですのであしからず。
これもやっぱり黒い。
その上ふたりともひとでなしな気が…;;











 * * * * * * * * * *







 《 02 大事にされてるのは分かるけど 》






 貴方の傍に居ることが、私の望み。







 久々の勝ち戦。右を見ても左を見ても飲み騒ぐ侍達の姿が在る。
 乱痴気騒ぎと言っても過言ではない喧騒の中、部屋の端で静かに一人手酌をしている男が居た。
 そんな上官の姿におもわず頬を緩め、熱の篭った目を向ければ相手もこちらに焦点を合わせる。

「酔ったか。シチロージ」

「……えぇまぁ。久方ぶりの酒宴ですしね」

 肩を竦めて笑って見せれば、男も珍しく頬を緩める。
 普段の威厳ある表情ではない緩んだ顔つきは、どこか複雑だ。
 生き残れた嬉しさと。死に損なった虚無感。
 彼の人の心中を誰よりも早く察し、空いた徳利をわざとらしく振ってみせる。

「あちゃ~。もう飲み干しちまって…カンベエ様も酒豪で在られる」

「お主程飲んでは居らぬ。それよりどうかしたのか」

「……浮かれているように見えますかねぇ」

「多少、な。お主がここまで飲む所を見るのは久方ぶりだ」

「…浮かれもしますよ」

「ん?」

 此度の戦の最中。彼の人の情人は命を落とした。
 それを聞いても、貴方は眉ひとつ動かさず。
 情人との間に愛や恋があった訳ではないと、聞かされてしまえば。

(…後釜狙っちまうのも、無理ねぇや)

 愛して貰わなくても良い。
 解りたくもないが、今は亡きあの男もそう思いながら主の傍に居たのかもしれない。
 まず手に入れたいものは貴方の隣だ。
 身も蓋もない言い方をしてしまえば、想いなんてものは後からだってついてくる。

「……なんせ、久方ぶりの勝ち戦ですからねっ」

「ハハッ。それを言われてはワシの胸が痛むというもの」

 茶化すように言えば、深くは問わずに笑う上官。
 全く、聡いのか鈍いのか解らない人だ。

「…………ねぇ、カンベエ様」

 大切な宝物を扱うように、そっと名前を呼ぶ。
 それを怪しんだのか、怪訝な表情で主はこちらを見た。

「……どうした。シチロージ」

 僅かに首を傾げてみせる仕種。酔って熱に浮いた灰褐色の瞳。
 全てが愛しくて。全てを手に入れたくて。

「…お伝えしたき事がございます」

 言ってはならぬ。触れてはならぬと警鐘が鳴り響く。
 しかして遠慮をする理由がどこにあると言うのか。
 情人はもう亡き人となり、主は誰のモノでもない。
 元より、あの男のモノであると、主には自覚すら無かっただろう。

 ならば、己が気持ちを伝えようと、困る者は居ない。
 酒の席での戯言として扱われたって構わないのだ。
 ただ、この想いを伝えて、貴方の心に少しでも己が残るのなら、それだけで報われるというもの。

「……部屋に参るか。此処ではまともに話もできん」

 周囲を見渡して苦く笑う男は、おそらくは己に気を遣っているのだろう。
 此度の戦で失った仲間を、己が悼んでいるのだとでも、思っているのだろうか。
 そうだとしたら、貴方はお人好しだ。

「…承知」

 貴方は優しい方ですが、私は貴方にそれを求めていない。
 私は、上官と部下という隔たりを越えたい。
 壁を壊したその時、貴方はどのような顔をするのか。

 今、少しでも考えただけで、薄ら寒い何かが背筋を駆け巡る。

 軋む音をたてて、前を行く男の背中を目を細めて眺めた。


 さぁ、覚悟はよろしいですか?カンベエ様。










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二人とも酷い人になりました…でも私的にカンベエ様って大戦期には既に色恋とかに興味なくて処理できれば(何をとは言いませんが…)男でも女でも自分が女役でも(言い過ぎ?)構わなさそうな…でもこの設定だと、シチロージがこの先苦労しそう…;;
乙女で天然なカンベエも好きですよ。大人な割り切ってるカンベエも好きです。
だから時折性格変わってるかもなぁ……(遠い目)
シチロージが変態くさくなったのは私の表現の所為ですのでご容赦下さい。
これから益々変態になってゆく事でしょう(天気予報風)
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